SharePoint Server 2016 MinRole 構成メモ
前回単一サーバーファームとして検証環境を構築する際のメモを投稿しました。今回は、MinRole を利用した構成メモです
MinRole について
SharePoint Server 2016 では、新しいインフラ概念として MinRole というしくみが導入されています。インストール時に構成ウィザードで、あらかじめ定義されたロールを指定することで、そのロールに基づいたサービスが自動的に構成され展開作業が簡略化できること、またロールが明確になることでファームパフォーマンスが最適化できること、各サーバーの役割 (ロール) が明確となるため、パフォーマンス予測がしやすくなることが利点とのことです。
参考 [TechNet MinRole の概要]
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/mt346114(v=office.16).aspx
[TechNet SharePoint Server 2016 の MinRole と関連つけられているサービスの説明]
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/mt667910(v=office.16).aspx
● 選択できるロール
ロール名 | 説明 |
フロントエンド | エンドユーザーからの要求を処理。フロントエンド Web サーバーとなり、遅延が短くなるように最適化されている |
アプリケーション | バックエンドの要求 (ジョブ、検索クロール要求とか) を処理。スループットが高くなるよう最適化されている |
検索 | 検索サービス用。 |
分散キャッシュ | 分散キャッシュ用。フロントエンド間のユーザー要求を負荷分散 |
カスタム | カスタムの役割を割り当てる場合。サービスの構成はされない。 |
単一サーバー ファーム | 単一サーバーに全サービスを実行。開発環境とか評価環境に便利 |
SharePoint Server 2016 では、検証時等に利用する単一サーバー構成、新しく登場した MinRole を利用した構成、そして従来通りサーバーでどのサービスを稼働させるかを構成するカスタム構成と、インストールの方法は大きく3種類となります。
下記は、MinRole を利用して、AD、SQL、SP1(フロントエンド)、SP2(アプリケーション)、SP3(分散キャッシュ)、SP4(検索) の構成でファーム構成を行ったときのメモです。
1.事前準備
- SQL サーバーのインストール
- AD に SharePoint のデータベース アクセスアカウント、サービス用アカウント用意
- SharePoint の4台について
OS インストール、ドメイン参加
・ Prerequisiteinstaller.exe を利用して、前提条件をすべてインストール
・ SharePoint Server 2016 のインストール
・ Language Pack のインストール
2.フロントエンドの構成
製品構成ウィザードを利用して、フロントエンドの役割を構成します。
1. SP1 (フロントエンド) のマシンで、製品構成ウィザードを起動し、[次へ]
2. さらに [次へ]
3. ダイアログが表示されたら、[はい]
4. [新しいサーバー ファームの作成] を選択し、[次へ]
5. データベース サーバー、データベースアクセス アカウントを指定し、[次へ]
6. パスフレーズを指定し、[次へ]
7. サーバーの役割として、[フロントエンド] を選択し、[次へ]
8. 全体管理をホストするポート番号を任意に指定し、[次へ]
9. 内容を確認し、[次へ]
10. 構成中の間待つ
11. 「構成成功」 を確認し、[完了]
3.アプリケーションの構成
製品構成ウィザードを利用して、アプリケーションの役割を構成します。
1. SP2 (アプリケーション) のマシンで、製品構成ウィザードを起動し、[次へ]
2. ダイアログが表示されたら、[はい]
3. [既存のサーバー ファームへの接続] を選択し、[次へ]
4. データベース サーバー名を指定し、[データベース名の取得] をクリック
データベース名が挿入されたことを確認して [次へ]
5. パスフレーズ (1台目の構成ウィザードで指定したもの) を入力し、[次へ]
6. サーバーの役割として、[アプリケーション] を選択し、[次へ]
7. 内容を確認し、[次へ]
8. 構成中の間待つ
9. 「構成成功」 を確認し、[完了]
4.分散キャッシュの構成
製品構成ウィザードを利用して、分散キャッシュの役割を構成します。
1. SP3 (分散キャッシュ) のマシンで、製品構成ウィザードを起動し、[次へ]
2. ダイアログが表示されたら、[はい]
3. [既存のサーバー ファームへの接続] を選択し、[次へ]
4. データベースサーバー名を指定し、[データベース名の取得] をクリック
データベース名が挿入されたことを確認して [次へ]
5. パスフレーズ (1台目の構成ウィザードで指定したもの) を入力し、[次へ]
6. サーバーの役割として、[分散キャッシュ] を選択し、[次へ]
7. 内容を確認し、[次へ]
8. 構成中の間待つ
9. 「構成成功」を確認し、[完了]
5.検索の構成
製品構成ウィザードを利用して、検索の役割を構成します。
1. SP4 (検索) のマシンで、製品構成ウィザードを起動し、[次へ]
2. ダイアログが表示されたら、[はい]
3. [既存のサーバー ファームへの接続] を選択し、[次へ]
4. データベースサーバー名を指定し、[データベース名の取得] をクリック
データベース名が挿入されたことを確認して [次へ]
5. パスフレーズ (1台目の構成ウィザードで指定したもの) を入力し、[次へ]
6. サーバーの役割として、[検索] を選択し、[次へ]
7. 内容を確認し、[次へ]
8. 構成中の間待つ
9. 「構成成功」を確認し、[完了]
6.全体管理 確認してみる
さて、全体管理で内容を確認してみます。構成ウィザード終了後、自動的に全体管理が開きますが、4台ともファーム構成ウィザードはいったんスキップして実行していません。
- [このファームのサーバーの管理]
[役割] が それぞれ表示されています。
- [このファームのサービスを管理]
- [アプリケーション構成の管理] – [サーバーのサービス]
サーバーを変更しながら、各サーバーでのサービスの状態が確認できます。
- [サービス アプリケーションの管理]
7.ファーム構成ウィザード
ファーム構成ウィザード実行
1. 全体管理で [構成ウィザード] – [ファーム構成ウィザードの起動] をクリック
2. [ウィザードの開始] をクリック
3. 新しい管理アカウントを指定
4. サービスアプリケーションの内容を確認し、[次へ]
5. しばらく待つ
6. [サイト コレクションの作成] 画面が表示されたら、ルート サイト コレクションを作成する
7. ファーム構成ウィザードが完了
最後に、内容確認
● [アプリケーション構成の管理] – [サーバーのサービス]
● [アプリケーション構成の管理] – [サービス アプリケーションの管理]
この後、各種機能を利用するための設定がいろいろ必要ですが、MinRole を利用したインストールについてのメモでした。
また 2016/09/26 の Office Blog でアナウンスされていましたが、11月に SharePoint Server 2016 Feature Pack1 が提供されるそうです。
Feature Pack 1 に含まれる新機能の中に、MinRole の機能強化があり、MinRole に 「フロントエンドと分散キャッシュ」 と 「アプリケーションと検索」 が追加されるようです。
MinRole で可用性も考慮すると、4Role×2の8台構成が最小ということになりますが、この機能強化で 2Role ×2 の4台で可能性も考慮した MinRole 最小構成が組めそうです。